歩いている。


ひたすら歩いている。


何を目指しているのか、 どうしてこんなところにいるのか、 疑問にも思わない自分を俯瞰で見下ろしています。


歩くのも少し疲れたなと、 そのあたりに腰を下ろすと場面は切り替わります。


さっきまで何もない荒野の一本道のような場所だったのに、 今度は通っていた大学の食堂にいます。


前に座るのは当時の恋人と、横にはなぜかカレーライスを食べる大きな犬。


犬は私に、このカレー少し甘すぎるよ、と言いました。


大学で食べたカレーは確かに甘くて、 福神漬けが全然合っていなかったなあと思い出します。


恋人はそのカレーが好きで、福神漬けだけ私に寄越したんだっけ。


犬が食べ終え、食器を下げるのを待ってから、恋人に聞きました。


なぜあの犬を連れているの? 恋人は答えます。


君が連れてきたんやろ、あの犬。


犬は二杯目のカレーを器用に手で持ちながら、 こちらへ向かっているのですが、 その姿はどんどん遠ざかっていきます。


恋人は言います。


歩き疲れたやろ、今日はもう帰ろか。


恋人の声は犬の声と重なり、やがてアラームの音に変わりました。


カレーライスを食べる犬の夢は、 恋人と別れた日が近づくとたまに見ます。


その度に私は、布団の中でぼんやり、 今日のお昼にはカレーを食べようと思うのです。


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